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内分泌科 ENDOCRINOLOGY

内分泌科の病気について

内分泌系の疾患は、体内のホルモンが過剰にもしくは不足している状態で起こります。これらのホルモンのバランスの崩れが、さまざまな健康問題を引き起こす原因となります。

ペットに見られる代表的な内分泌疾患には、犬猫の糖尿病、甲状腺機能亢進症(猫)、甲状腺機能低下症(犬)、アジソン病(副腎皮質機能低下症)、クッシング病(副腎皮質機能亢進症)があります。これらの病気は、食欲不振、過度の水分摂取、体重の変動、毛皮の状態の悪化など多様な症状を引き起こす可能性があります。

当院ではこれらの症状に基づいて、血液検査、尿検査、ホルモン検査などを行い、正確な診断を目指します。診断後は、ホルモン補充療法、食事管理、場合によっては手術など、各ペットに合った治療計画を提案します。内分泌疾患は管理が難しい場合が多いですが、適切な治療と定期的な検診により、ペットが健康的な生活を送る手助けをします。

犬の治療例

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、犬において甲状腺ホルモンが不足することで起こる一般的な病気です。主に中年から高齢の犬に見られ、特に大型犬に多い傾向があります。甲状腺ホルモンの不足により、代謝が遅くなり、体重増加、活動量の減少、皮膚の問題(乾燥、脱毛)、低体温などの症状が表れます。治療は甲状腺ホルモンの補充療法が基本で、一度治療を始めると多くの場合、生涯にわたって続ける必要があります。適切な投薬により、症状は効果的に管理でき、通常、良好な予後が期待できます。

甲状腺ホルモン補充療法 日常的に合成甲状腺ホルモンを投与することで、ホルモンの不足を補い、症状を管理します。この治療は犬の体重、症状の重さ、血液検査の結果に基づいて個別に調整され、定期的な血液検査により適切な投与量が保たれます。
定期的なモニタリングと調整 治療開始後、定期的な血液検査を行い、甲状腺ホルモンレベルをモニタリングします。これにより、治療の有効性を評価し、必要に応じて薬の量を調整します。これは副作用を防ぎ、最適な健康状態を維持するために重要です。

クッシング病

クッシング病は、体内でコルチゾールが過剰に生産されることにより発症します。この病気は主に副腎の腫瘍や、脳下垂体に発生する腫瘍によるものが多いです。症状には体重増加、過度の飲水と多尿、腹部の膨張、皮膚の薄さ、そして再発性の皮膚感染が含まれます。治療は副腎抑制薬の投与や、原因となる腫瘍の手術による除去があります。定期的な監視と治療調整が必要となることも多く、管理は比較的複雑です。

薬物治療 クッシング病の一般的な治療法として、副腎皮質ホルモンの過剰産生を抑制する薬物(例:トリロスタンやミトタン)が使用されます。これらは副腎の機能を抑え、ホルモンレベルを正常化させることで症状を管理します。
外科手術 脳下垂体や副腎に腫瘍がある場合、それを除去する手術が適切な選択となることがあります。特に副腎腫瘍が原因のクッシング病では、患部の副腎を外科的に除去することが推奨されます。

猫の治療例

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、特に高齢猫に多く見られる病気で、甲状腺が過剰にホルモンを分泌することが原因です。症状には体重減少、食欲増進、過活動、多飲多尿、嘔吐や下痢が含まれます。治療は抗甲状腺薬による薬物療法、放射性ヨウ素治療、または甲状腺の手術的切除があります。適切な治療により、多くの猫は正常な生活を取り戻すことができます。

抗甲状腺薬の使用 メチマゾールなどの抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンの過剰産生を抑える効果があり、日常的に投与することで症状のコントロールと甲状腺機能の正常化を図ります。
放射性ヨウ素治療 放射性ヨウ素治療は、甲状腺組織に特異的に作用し、過剰な甲状腺ホルモンを産生している甲状腺細胞を破壊します。この治療は単回で完治する可能性が高く、効果的な長期治療オプションです。

糖尿病

猫の糖尿病はインスリンの作用不足または反応不足により、血糖レベルが異常に高くなる状態です。中年から高齢の猫に多く見られ、特に肥満が原因となることもあります。症状には過度の飲水、多尿、食欲増進にもかかわらず体重減少が見られます。治療には毎日のインスリン注射と食事管理が含まれ、これにより多くの猫が健康を維持できます。定期的な血糖モニタリングが重要で、適切に管理すれば良好な予後を得ることが可能です。

インスリン療法 猫の糖尿病治療の主軸はインスリン注射です。毎日、または獣医師の指示に従って2回、インスリンを投与し、血糖レベルを適切にコントロールします。
食事管理 低炭水化物、高タンパク質の食事を提供することで血糖値の急激な上昇を抑え、糖尿病の管理をサポートします。適切な食事はインスリンの効果を最大化し、全体的な健康を維持するのに役立ちます。

当院での治療の流れ

Step01受付・問診

ご来院された際には、まず受付でペットの基本情報の登録を行います。その後、ペットの健康状態や最近の変化、持病の有無などについて詳細な問診を行い、内分泌関連の症状に特に注目しながら情報を収集します。この段階で、ペットの食欲、体重の変動、活動レベルの変化など、内分泌疾患に特有の兆候について詳しくお聞きします。


Step02身体検査

問診の情報を基に、獣医師がペットの全身を慎重に検査します。この検査では、体重の測定、体温の確認、皮膚や被毛の状態の評価、心拍数や呼吸の観察を行います。特に内分泌系の異常が疑われる場合は、甲状腺の触診や腹部の触診を行い、異常がないかをチェックします。


Step03検査

身体検査の結果に基づき、血液検査、尿検査、ホルモンレベルの測定など、さらに詳しい検査を行います。これにより、甲状腺機能亢進症や糖尿病などの内分泌疾患の有無や、その程度を正確に把握することができます。


Step04検査結果の説明・治療方針のご相談

検査結果が出た後、獣医師がそれを詳しく説明し、治療の選択肢を提案します。この段階で、具体的な治療方法、治療に伴うリスクや費用、予後の見通しについて話し合い、飼い主様が理解し納得の上で治療を進められるようサポートします。治療は薬物療法が中心となることが多く、場合によっては食事療法や生活習慣の改善も併せて行います。


Step05お会計・次回の予約

内分泌疾患の場合、継続的なモニタリングや治療調整が必要になるため、次回の診察日を予約していただきます。ペットの病状の変化に応じて迅速に対応し、最適な健康管理を継続できるようにサポートします。

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