カテゴリー:
犬の膝蓋骨脱臼の原因や症状、診断や治療法を獣医師が徹底解説!
豊田市近隣のみなさん、こんにちは! 豊田市の森田動物病院です。今回は犬の膝蓋骨脱臼の原因や症状、一般的な診断や治療の流れなどについて獣医師が詳しく解説していきます。
1. 原因
膝蓋骨脱臼は、膝の関節内にある膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置から外れてしまう状態を指します。この疾患の主な原因は以下の通りです。
- 遺伝的要因:小型犬に多く見られ、特にトイプードル、チワワ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなどの犬種で発症リスクが高いとされています。先天的な膝蓋骨の位置異常や関節の形態異常が影響します。
- 外傷:事故や転倒などによる膝関節への外的な衝撃が原因で膝蓋骨が脱臼することがあります。特にジャンプや急な方向転換がリスク要因となります。
- 筋力の不均衡:太ももの筋肉の発達やバランスの悪さが膝蓋骨の位置を不安定にし、脱臼を引き起こすことがあります。
- 関節炎:加齢や関節の摩耗により、膝関節に炎症が生じ、膝蓋骨が正常な位置に留まることが困難になることがあります。
これらの原因が単独または複合的に作用して、膝蓋骨脱臼が発症します。
2. 症状
膝蓋骨脱臼の症状は、その重症度や頻度によって異なりますが、一般的な症状は以下の通りです。
- 歩行異常:片足を引きずったり、後肢が不自然な形で外側に伸びたりすることがあります。また、時折後肢を持ち上げて跳び跳ねるような歩き方をすることがあります。
- 痛み:膝蓋骨が脱臼すると痛みを伴い、犬が脚を使うのを嫌がることがあります。触られると痛がる場合もあります。
- 膝の不安定感:膝関節が不安定になるため、犬が座ったり立ったりする動作がスムーズに行えないことがあります。
- 運動拒否:痛みや不快感から運動を避けるようになり、活動量が減少します。
- 筋肉の萎縮:長期間にわたって膝蓋骨脱臼が続くと、脚の筋肉が萎縮することがあります。
これらの症状が見られた場合、早急に獣医師の診察を受けることが重要です。
3. 診断の流れ
膝蓋骨脱臼の診断は、以下のような方法で行います。
- 問診:まず、飼い主から犬の症状や発症時期、行動の変化などについて詳しく聞き取ります。これにより、症状の経過や発生要因を特定します。
- 身体検査:獣医師が犬の膝関節を触診し、膝蓋骨の位置や関節の安定性を確認します。また、膝蓋骨を手で動かして脱臼の程度を評価します。
- レントゲン検査:膝関節の詳細な画像を撮影し、骨や関節の異常を確認します。膝蓋骨の位置や関節の形態異常を把握するために有用です。
これらの検査結果を総合的に判断し、膝蓋骨脱臼の診断を行います。
4. 治療の流れ
膝蓋骨脱臼の治療は、症状の重症度や犬の年齢、全体的な健康状態を考慮して選択されます。一般的な治療の流れは以下の通りです。
- 保存療法:
- 安静:運動を制限し、膝関節への負担を軽減します。特に急激な動きやジャンプを避けることが重要です。
- 投薬:痛みや炎症を抑えるために抗炎症薬や鎮痛薬を使用します。また、関節の健康をサポートするサプリメントの使用も推奨されます。
- リハビリテーション:物理療法やマッサージを通じて、筋力のバランスを整え、関節の安定性を向上させます。
- 外科療法:
- 関節の再建手術:膝蓋骨の位置を正常に戻し、関節の安定性を回復させる手術を行います。具体的には、膝蓋骨を保持するための溝を深くしたり、関節周囲の組織を修復したりします。
- 骨切り術:必要に応じて、膝関節の骨を切り、再配置して安定させる手術も行われます。
治療後は、再発を防ぐために定期的な経過観察と予防対策が重要です。リハビリテーションや適切な運動、体重管理を行い、膝関節の健康を維持します。
5. 当院での治療例
森田動物病院では、膝蓋骨脱臼の治療において多くの実績があります。以下は当院での治療例の一部です。
- ケース1:トイプードル、3歳、メス
- 症状:歩行異常と痛み
- 診断:触診とレントゲン検査で膝蓋骨脱臼と診断
- 治療:保存療法として安静と投薬、リハビリテーションを実施
- 経過:治療開始から1ヶ月で症状が改善、現在は運動制限を継続中
- ケース2:チワワ、2歳、オス
- 症状:片足を引きずる歩き方
- 診断:触診とレントゲン検査で膝蓋骨脱臼と診断
- 治療:外科療法として関節の再建手術を実施、術後のリハビリテーションを実施
- 経過:術後2ヶ月で正常な歩行に回復、現在は定期的なリハビリを継続中
- ケース3:ヨークシャーテリア、5歳、オス
- 症状:運動拒否と膝の不安定感
- 診断:触診とレントゲン検査で膝蓋骨脱臼と診断
- 治療:保存療法として安静と投薬、リハビリテーションを実施
- 経過:治療開始から3週間で症状が改善、現在は運動制限を継続中
これらの治療例からも分かるように、当院では個々の症例に合わせた最適な治療を提供しています。
6. まとめ
膝蓋骨脱臼は、早期発見と適切な治療が鍵となる疾患です。豊田市の森田動物病院では、最新の知識と豊富な経験を持つ獣医師が、皆さんの大切な家族である犬の健康を全力でサポートいたします。もしお家のワンちゃんが膝に異常を感じた場合は、早めに獣医師の診察を受けることをお勧めします。また、セカンドオピニオンも承っておりますので、他院で診断された場合でもお気軽にご相談ください。安心してワンちゃんの健康をお任せいただけるよう、スタッフ一同努めてまいります。